バックミンスター・フラーが開発した
ダイマクション地図というのがあります。小学生の頃、夏休みに再放送されていた『
ウルトラセブン』を観ていると、ガラス面に展開された地図が出ていて、それがとてもかっこ良かった。でも、当時僕の知っている
モルワイデでも
メルカトルでも無くて、いろいろ調べたらフラーの物だという事を知りました。僕がフラーを知るきっかけになったのも“ウルトラ”でした。そして、この美術を担当したのが、
成田亨という人です。成田氏は舞台美術だけでなく、『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の初期ウルトラ作品の怪獣デザインを手がけており、そっちの方が有名です。
今日、六本木ヒルズで行われている『
ウルトラマン大博覧会』に行ってきました。会場の前半は成田氏のデザインした怪獣やスケッチなどで構成され、後半は大伴昌司の少年マガジンなんかの巻頭を飾っていた怪獣スケッチやソフビのおもちゃがぎっしり展示されていました。入り口からはいってすぐのところは撮影OKなので、僕も上のような写真をパシャパシャと撮っていたんですが、後ろから入ってきた小さな子供が,「あっラゴンだ!」「ペスターだ」「チブル星人だ」と次々に展示された怪獣の名前を言っています。彼らは何で知ってるんでしょう。なによりも一緒に来たお父さんとテンションが同じなのが世代を超えたヒーローの凄さですね。
上の写真,1番左が僕の1番好きな『メトロン星人』。このデザイン,どうやって生まれるのでしょう。ものすごい想像力です。で、僕はこのデザインも好きなんですが,メトロン星人の登場するウルトラセブン第8話『
狙われた街』の金城哲夫さんの脚本、実相寺昭雄さんのカメラワークが何ともいえない。サスペンスドラマとして完成されています。特に川崎の工場地帯のようなところの4畳半のアパートでちゃぶ台を挟んでローアングルから映し出される
モロボシダンとメトロン星人の対話シーン。極めつけは最後のナレーション。「メトロン星人の地球侵略計画はこうして終わったのです。人間同士の信頼感を利用するとは恐るべき宇宙人です。でもご安心下さい、このお話は遠い遠い未来の物語なのです。え、何故ですって?我々人類は今、宇宙人に狙われるほど、お互いを信頼してはいませんから…」というドラマ史に残る皮肉なメッセージ。当時の子供がどれほど理解したでしょうか?
ちなみに写真でメトロン星人の右上がクール星人,その下のタコのようなのがチブル星人,エビのようなのがビラ星人です。
これは入り口付近にいたカネゴン。『ウルトラQ』に登場しました。
これは『ウルトラマン』出演のジャミラ。水の無い星に不時着し、環境に順応するためにこんな体になってしまった某国の悲劇の宇宙飛行士。アルジェリアの独立運動に貢献した
ジャミラ・ブーパシャが名前の由来です。
その後は撮影禁止でしたが,どれも大興奮。今見ると特撮なんかは未成熟だけど、内容の完成度が高いので,何十年経っても変わらない凄さがあります。
今回は『ウルトラ』シリーズだったので、『怪奇大作戦』なんかはなかったけど、今人気のドラマ『
ガリレオ』なんかは『怪奇大作戦』の現代版といった感じ。40年も前にこういったシナリオは完成させられていたことも驚きです。
今回の展覧会はドラマそのものより、デザイン的な部分に特化した物でしたが,充分楽しめたのと同時に,あの頃の想像力の凄さを感じる事の出来る内容でした。