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TRIP

BRUTUS TRIPが創刊されました。僕も巻頭のコラムを書いているので、見本紙が送られてきました。季刊?隔月?今後どういう発行になるか分かりませんが、2号目は3月に発売になるそうです。
 
最近、旅雑誌が増えてきているように思います。この現象に対する僕の推測はこうです。
大型の不動産会社が大きな商業施設を次々と建てていますが、入っている店舗に地域の差別化が見られない。さらには地方の都市もプチ東京化が進み、地域の個性が見えなくなってきていることが要因になっている気がします。新幹線で車景を見ているとどこの町に来ているのか分からなくなることがあります。都市計画自体も基本パターンが似ています。これは、世界似ています。また、僕自身旅を重ねてきて都市のパワーの弱さを感じます。パリ、ロンドンなど都市故の力はありますが、想像を絶する面白い物事にはあまり遭遇しないようになりました。むしろ少し田舎の都市の方が都会に対するコンプレックスもあいまって急成長し、とんでもないものが登場します。田舎からやってきた東京の人の方がオシャレに敏感という感じに似ています。
最近旅雑誌や旅特集、はたまた旅番組でも地方や秘境が紹介される事が多くなったと思います。僕たちはどこか無意識の中で見た事もない自然や町、民族性をフラット化が進む現代社会で求めているのだと思います。
 
僕も春にオープンした山口のお店“Degree”をディレクションする際に、東京の真似ではなく、地域性を出すべきだと考えました。結果的にお店の顔となっているのは萩焼(山口の陶芸)の作家達です。それを求め、福岡など近県や東京から来る人もいるそうです。これが本来のお店のあり方だと思っています。

雑誌で画期的だったのは90年代の『wallpaper』の登場。世界を渡り歩きながらデザイン、ファッション、建築などを切り込んでいく面白い編集でした。本来人間をとりまくすべての物事はすべて繋がっていると思うんですが、特に日本のメディアはカテゴリーごとに分類しようとします。旅でライフスタイルを斬っていくのは島国にすむ日本人にはなかなか理解しにくい事だったと思うんですが、海外旅行者も増えてきたこの時代に日本人の意識も少しづつ変わってきたように思います。
 
観光目的ではなかなか分からないのですが、海外に行って民族性や慣習、環境などを見ていると、海外の良いとこ悪いとこと共に、外部から見た日本が見えてきます。幕末から近代国家を築いた若い政治家が皆海外を体験したように、違う視点で日本を見ていく事も重要だと思います。僕自身は海外に行くようになって、日本そのものを意識するようになりました。
BRUTUS TRIPはまさに生の旅行を体験する人たちによって作られています。ニュースなんかで伝えられる情報は真実ですが、ある一方の真実でしかありません。例えばイスラエル。自爆テロの映像が伝えられると危険な国のレッテルを貼ってしまいますが、99%は平穏な毎日がある訳です。最近多い日本の殺人事件が海外のメディアに流れると、海外の人は『日本って相当治安が悪くなっているらしいよ』となるかもしれません。でも実際僕たちの生活している中でそんなこと滅多には起らないのです。本当の真実を知りたいのであれば、実際行ってみるしかありません。そして外部から日本を見てみると、日本人としてのいいところも悪いところも見えてきます。自分自身を客観的に見つめてみる事にも繋がっていくんです。TRIPは今の意識を変えるという意味も含んだ言葉だと思います。

| Life | 23:05 | comments(0) | - |
AUCTION

第一回目のConnect Auctionが終わりました。
実際のところ満足いく結果ではありませんでした。ただ、終わってからの反応を見てみるとそうでもなかったようです。
 
初回の不備がいくつかありました。海外のオークションはエスティメート(カタログなどに書かれている価格、これは現在の市場相場を記述しています)の半額からスタートすることが一般的なためこちらもそれにあわせたのですが、例えばエスティメートが10万円から15万円の場合、スタートは5万円から始まりますが、5万円で札を上げ、7万円で競り合った人が札を下げたので勝ったと思い札をおろすと、オークショニアからパス(不落札)という言葉が発せられ、混乱するということが最初の方で目立ちました。

実際のところ出品者がこの価格以上であれば売ってもいいというリザーブ価格というものがあり、この場合8万円がその価格とすると7万円はそのリザーブに満たないので不成立となるわけです。ただ、1万ぐらいだったら上乗せして買ったのに、という人もかなりいて、オークション後に買ってもらうということが起りました。

オークション途中からこのスタートがわかりにくいということで、リザーブ価格からスタートするようになり、中盤からだいぶ落札されるようになりました。

また、ebayのライブオークションのシステムにも問題があり、リザーブを超える入札予約が多数あったにも関わらず、会場の入札がスタートしないとebayも動かないらしく、会場で入札が無かったものに関してはebayでも不落札になるという事体がありました。これもオークション後入札者にコンタクトをとり、交渉成立するものが多くみられました。オークション本番では3割くらいの落札でしたが、こういった事後交渉で半分以上が売れている事になり、ちょっと安心しました。

また、朝早かったのも予想外に悪かった感じがしました。最初日本ではオークション自体に抵抗があると思い、海外の人が入札しやすい時間(海外では日曜の夕方)にしたのですが、海外の人はほとんどアブセントビット(事前に入札しておく方式)だったため、時間を合わせる意味があまりありませんでした。逆に日本時間で夕方にしておけば、もう少し国内の人に参加してもらえたかもしれません。
 
ただ、圧倒的な知名度の低さが見え隠れしています。
出品物の希少性からいったらかなり高いレベルだと思うので、知名度が上がった5、6回目くらいにもしも全く今回と同じ出品物であったならば、倍以上落札されていたでしょうし、エスティメートを超えていたものも多かったと思います。
そうことで今回落札した方は相当ラッキーですね。イームズのストレージユニットが90万円で落札されましたが、世界中でこんなに安く買える事はまず無いと思います。
僕も持っているスタルクのガンランプのプロトなんか35万円です。確か、生産品が36万円だったか、世界に12台しか無く、仕様も全然高級なのに大量生産の方より安いです。他にもKnollが製造したブロイヤーの椅子が12脚で8万円。1脚あたり数千円です。ヤフオクでもこんなに安く買えないかもしれません。
 
オークション終了後、数人の人と話しました。海外のオークションに参加していらっしゃる人たちばかりですが、アブセントビットが多く、実際札を上げて入札するのは今回が皆さん初めてだったようです。それもあり、なかなか最初は上げづらかったそうです。ただ皆さんかなりリアルなオークションに対する関心は大きく、今後も来てもらえそうでよかったです。
 
初めてオークションの話を聞いてから1年あまり、ここまでくるのに相当大変でした。N田さん一人では到底出来なかったでしょうし、2回目以降はだいぶやりやすくなると思いますが、1回目を立ち上げるという事は相当大変ですね。こういったオークションが徐々に浸透すると他社も参入してくるでしょうけど、かなり大変だと思います。
モノを集める力、資本力、営業力(人脈)、会場構成およびカタログ編集、プレス力など総合的にバランスよく発揮出来ないと立ち上げられない事を痛感しました。
 
課題はかなり多くでてきましたが、会場の搬出をしながら既に2回目の話で盛り上がりました。予定では来年の春に行います。またここでも紹介したいと思っています。


| Design | 23:44 | comments(0) | - |
プレビュー開始

今日から日曜日まで原宿クエストホールでConnect Auctionのプレビューが開始されました。朝9時から搬入で、14時からプレビュー開始、僕はプレス担当なので、何社かアポが入っている雑誌などの取材に対応しました。18:30からレセプションパーティ開始。Dean & Delucaのケータリング、Moetのシャンパンなど協賛をいただきました。パーティが始まる頃は今朝の搬入がもう何日も前のような気がしました。
 
パーティはたくさんの方に来ていただきましたが会場が狭く、心配していたのですが、上手い具合に入場がばらけたので比較的見やすかったのではないでしょうか?
 
プレビューという事もあり、展覧会のように凝った会場構成などはありませんが、国内のインテリアショップではなかなか見られない作品がずらっと並んでいます。
これが全部タダで見られ、実際座ったり触ったり出来るのですからこんな機会はなかなか無いと思います。
 
上の写真は会場の外側にあるロビー部分。イームズのストレージユニットのオリジナルです。脚の形状から見るとセカンドタイプです。その後ろにはロン・アラッドのローバー・チェアとアルキズームのサファリが見えます。どれも超レアもの。
 

イームズの作品の中でも極めて珍しいキッズチェアです。子供用の椅子は需要が無く初回ロットで生産が中止されたため、数がほとんどありません。大人が座ったらつぶれるくらい華奢です。
 

60年代〜ポストモダン時期のデザインモノです。黄色い雲のようなランプはパッシフローラという名前のものでスーパースタジオがデザインしました。今年復刻されましたが、オリジナルは100万円ほどします。値段は可愛くないです。
奥の方にはマーク・ニューソンの作品があります。
 

北欧の陶器など。左の棚にはルーシー・リーなんかもあります。右の棚には河井寛次郎も。
 

手前はカルダーのリトグラフ。ここにはネルソンの時計やセルジュ・ムイユのランプなど、壁付けの小物が飾られています。
 

北欧家具のコーナー。フィン・ユールのローズウッドのテーブル、いいです。今回出品されたフィン・ユールはどれもコンディションがいいです。
 
カタログやサイトに表記されている価格はエスティメート(落札希望価格)です。出品者の希望もありますが、大体は世界で流通している基準価格になっています。日本ではリサイクルショップやヤフオクがこういった家具の流通の大半なため高い感じはしますが、僕なんかは海外から買う事が多いのでこの値段はかなり良心的に思えます。なぜなら、例えば海外で20万円の棚を落札して日本に運んだ場合、結果的に倍近くかそれ以上かかってしまう場合があります。この送料の分を含めていない純粋な世界の流通価格なので、割安なんです。場合によっては同業者の仕入れが出きるような価格のものもあります。実際、アートオークションや本の競売はギャラリーや古本屋などの仕入れに使われているようです。
 
ということで、オリジナルの名作家具に興味のある方は是非脚を運んでみてください。
 
| Design | 23:58 | comments(1) | - |
Connect続報

本日からオークションの出品物がebayのライブ・オークションにアップされました。ここでも入札可能です(ただし手数料が追加でかかるので日本の方は直接の方がいいです)
世界中の人がターゲットです。(ここんとこが既存の日本のオークションハウスと違います)本気で興味がある方は26日に会場へどうぞ。
| Design | 23:18 | comments(0) | - |
Rocket

約10年ほど前、僕は60年代〜70年代のプラスティック系家具にハマっていて展覧会をやろうといろいろ動き回っていました。まだ世の中は一部のマニアでイームズが注目されていた頃です。CAPというエディトリアルデザインで有名な事務所があり、友人が務めていたこともあり、そこの代表のF本さんを紹介してもらいました。F本さんはラフォーレ・ミュージアムの顧問みたいなこともやっていて当時ラフォーレの社員だったO山さんに話を持ちかけてくれました。O山さんの紹介でいいところまで企画は進んだんですが、企画自体が社内の派閥争いに巻き込まれてしまい、お蔵入りとなってしまいました。
 
それから1年ほど経った頃、O山さんは退社しF本さんが原宿の同潤会アパートにオープンするギャラリー“Rocket”のディレクターになり、F本さんO山さんのお誘いで規模は極端に小さくなりましたが初めての展覧会を行うことになりました。
1996年の10月だったか、Rocketはオープンしました。最初の展覧会はこのギャラリーの内装を手がけたインテンショナリーズのものでした。今では鄭さんの会社として有名ですが、まだデザインというもの事体一般的では無かったし、どちらかというとその後アムステルダムへ建築留学してしまうE遠さんの方が有名だったと思います。
そして僕は1997年の1月末から1週間、パントンの作品を中心にイタリアのプラスティック製品、domusgraphisなどの雑誌、クレージュピエール・カルダンプッチなどのヴィンテージ古着などを展示・販売する『アポロ・ジェネレーション展』を開きました。この時にDaneseマーリムナーリのデッドストック商品を販売していた当時の定価で売りました。(今や10倍以上になってます)また、パントン、ムナーリがまだ生きていたので彼らのサイン入りの作品集やシルクスクリーンの作品なども販売しました。あと、コロンボのランプのデッドストックをこれも定価で売ったと思います。
同潤会の窓から見える異様な部屋の状態に惹き付けられて、思った以上にお客の入りが良かったのと、モノが飛ぶように売れました。
 
この評判がラフォーレにも伝わり、原宿は例のことで無理でしたがO山さんの旦那さんが当時副館長だった松山(愛媛)のラフォーレで5月から1ヶ月の間、イベントが行われることになりました。ここはスペースが広いので、Modern Age GalleryとOrganic Designに商品協力をしてもらい、当時Modern Ageの店長だった現ランドスケープのN原さんと、OrganicのA原さんと一緒に設置に行って、みんなで道後温泉に浸かってきました。松山の人たちはイームズすらもほとんど知らないのですが、それを飛び越えてパントンなんか見たんだから相当驚いたと思います。原宿のイベントと違って売り上げには全くなりませんでしたが、来場者はかなりだったそうです。
 
そして、この年お盆中の時期はギャラリーが空いているので、またやって欲しいということで2度目の『アポロ・ジェネレーション展』を行いました。この頃から僕が媒体なんかに出始めたと思います。
このイベント中ずっと会場にいたのですが、それによって多くのクリエーターなどと面識を持つようになりました。何よりもあの同潤会の空気感がとても気持ちよかったです。
 
それから翌年最初のN原さんが立ち上げたばかりのランドスケープの最初の展覧会を手伝いました。Rocketがhhstyleの裏あたりに移った2期目、青山通りを1本入ったところに移った3期目。展覧会こそしませんでしたが、よく通っていました。Rocketは日本のクリエイターの登竜門のような役割を担いました。インテンショナリーズからグルーヴィジョンズエンライトメント佐藤可士和青木克憲ランドスケープバンザイペイント若木信吾ジェームス・ジャービスなどなど、90年代半ばから現在にかけてサブカルチャーを支えてきた人たちは大体ここで展覧会をやってます。僕もそんな伝説のギャラリーに関われて良かったです。
あまりF本さんやO山さんには会わなくなったけど、たまに表参道の交差点なんかで出くわして、挨拶してます。
今日、ELLE DECOの次号の打ち合わせに行った帰りに本屋さんに寄ったら、Rocketの本が出てて懐かしくて買ってしまったのです。
CAPは10年前も有名でしたが、今は日本を代表するエディトリアルデザインの会社にまでなってしまいましたね。この本もCAPが発行しているようです。
 
上の写真は購入した本の見返しのところです。Rocketで行われた展覧会のDMが散らばっています。僕の展覧会のDMもありますがどれかわかりますか?ヒントはサボテンです。

そして、来週20日、青山に第4期のRocketがオープンするそうです。

オープンを前に送られてきた案内はとても凝っていました。初回展覧会は青木むすびさんだそうです。
| Culture | 23:41 | comments(7) | - |
鳥獣戯画
JUGEMテーマ:アート・デザイン

某雑誌で隈さんの手がけたミッドタウンのサントリーミュージアムについてコメントしなくてはならず、予習のために時間を見計らって見に行くことにしました。
ここでは今、国宝の鳥獣戯画の展覧会を行っています。興味も大アリなのでそっちも鑑賞。平日にも関わらず、会場はじいさんばあさんでいっぱい。絵巻物なので長く連なった絵を鑑賞するのですが、じいさんばあさんがなかなか前に進まない。一応背後からも見えるように壁にはスキャンされたものが貼られていますが、やっぱり実物の紙の質感や筆の走りにはかなわない。
鳥獣戯画と言えば平安時代〜鎌倉時代に描かれたものですが、漫画やアニメーションのルーツとしても知られています。台詞なんかは入っていないのですが

口からもやもやが出ていますよね。(何かしゃべっているんでしょうね、漫画のフキダシのルーツです)
お経を読んでいる

こんなのもあります。
 
オリジナルには無いのですが、江戸時代に狩野探幽によって写された鳥獣戯画には高飛びをするスピードを表現する線が描かれてます。

平安時代から始まった時代によって鳥獣戯画はどんどん進化していくのがわかります。
それにしても、探幽の模写も展示されていたのですが、やっぱりオリジナルより全然上手い。筆の走りにしてもムダな線がまったくありません。

3Fには室町時代のギャグ漫画というべき放屁合戦絵巻がありました。

春画なんかでは男性シンボルをデフォルメするんですが、既に室町時代に始まっているんですね。森美術館の『日本美術が笑う』展では河鍋暁斎の江戸時代版放屁合戦絵巻が人気だったそうです。それにしても、日本も世界もお金持ちは下品が好きですね。
 
それにしても、当時の人は見に見えない動きの線やフキダシをどうやって閃いたんでしょうか。仏像もそうだけど、昔の人の想像力は凄い!
内装を見に行くつもりがかなり満喫してしまいました。

ミッドタウンって行く前は、どーせヒルズなんかと同じでしょ。と思ってましたが、初めて行った時も分かりやすく、エスカレーター以外は(お店を回らせるためだと思うけど、フロアごとに反対側にまわらなければなりません)いい感じに動きやすい。21-21のまわりのパブリックスペースも清々しい感じ。今日なんかはあったかかったからベンチで昼寝しているサラリーマンもいました。屋内のカフェは混んでるから、僕たちもプレッセ(スーパー)で飲み物を買って外でお茶しました。個人的にわざわざここに来て買い物したいお店は無いけど、美術館とかちょっとお昼ご飯にくるには好きです。(休日は人が多いので平日がいいです)2時間ばかりの散歩のような感じでしたがとてもリフレッシュできました。
 
| Art | 23:33 | comments(2) | - |
Connect
JUGEMテーマ:アート・デザイン

1年ほど前からエルモルイスのN田さんを中心にLandscape ProductsのN原さんと僕の3人で定期的に打ち合わせを重ね、今月26日にようやく第一回目のオークションが開催されます。
僕が知る限り、デザインオークションは日本で初めてではないでしょうか?しかもよくテレビなんかでみかけるハンマープライス(オークショニアが会場で競りを行う)もちゃんとやります。
オークションハウスの名前はConnect。売り手と買い手を繋げるという意味ですが、これを機に展開される事業などで人を繋げたり、ネットビジネスとしてオンラインを繋げたり、多くの意味を含んだ言葉です。
そして、コーポラティブハウスなどで有名な都市デザインシステムが協賛というかたちで、関係してもらうことになりました。まだ1回目はイベントのようなかたちですが、来年からはエルモルイス、都市デザイン、ランドスケープ、グリフの4社で組織化していく予定です。
またCIはグルーヴィジョンズ、媒体支援としてハニカムが協力してくれています。
 
第一回を目前に、今日ようやくカタログが仕上がってきました。


表紙はカバーがかけられていて、はがすとポスターになります。表紙とカバーのポスターはグルーヴィジョンズのデザイン。
Connectのロゴマークもグルビのデザインによるものです。
 

倉俣史朗の出品物のページ見開き。こんな感じで小冊子が差し込まれています。ここでは倉俣のプロフィールや資料が紹介されています。写真に出ているページは1987年にIDEEが行った倉俣史朗展の会場風景です。
 

こんなものも出品されます。アルキズームのラディカルデザインの名作『サファリ』。
 

マーク・ニューソンの出品物のページ。今や作品は1億円以上というマークの初期のプロダクトはIDEEが制作していました。その頃の資料や彼の日本との関係について小冊子で紹介しています。
 
ブックデザインはウチがやりました。全部で210点。
出品物はすべて公式サイトでも見れますが、紙の雰囲気、小冊子とその資料関係はカタログならではです。今後のオークションカタログもデザイナーをその度に変えていく予定です。オークションに参加せずともかなりの資料性です。プロトタイプなど作品集にも載らないような作品もありますから。
今回のようにブックデザインにもいろいろチャレンジしていき、ヴィジョネアのようにオークション参加者以外でもカタログがコレクターズアイテムとなっていくようにしようと思っています。
 
今回のオークション立ち上げには様々な意味があります。
ひとつは世界でこれだけオークションが話題になっているのに、日本の市場は取り残されていること。日本にあるものが海外に流出し高額になっているにもかかわらず、当の日本人がほとんど気づいていないこと。つまりおいしいところを全部もっていかれているのです。世界基準で物事を考えていくことをしていきたい。
ひとつは国内に高級品の古物流通がほとんど無いこと。リサイクルショップでは僅かな下取り価格しかもらえず、ヤフオクなどでは本当に高額な商品はなかなか流通出来ません。日本の中古市場、いいものを扱うインテリアショップが活性化していかない理由が、商品がとどまってしまうこと。高級なテーブルを買った人も次に買い替えたい時には今あるテーブルを手放さなければなりません。でもそれを売るところが無いのです。結果的に新しいテーブルを買うのをあきらめればそれだけお店の回転も鈍ります。これを健全化していきたいです。
またひとつは教育。お金持ちの堅実さをご存知でしょうか?フェラーリを買う人は売る時にほとんど値が下がらず下取りに出せるため、下取りしたお金で新しいフェラーリが買えます。つまり、値の下がらないいいものを買えば最初の投資は大きいのですが、半永久的に転売していくだけでまた同じ価値のものが買えるのです。また、庶民はブランドものの宝石を買いますが、例えばブランドの100万円のダイヤの指輪を買ったとします。しかしダイヤの価値は10万円程度、ブランド価値が殆どなため人気が下がればほとんど価値は無くなります。よくお金持ちのおばちゃんがでっかい指輪をしていますが、そういった人たちはブランドよりもダイヤの大きさや台座の質にこだわります。同じ100万円を出しても前者のダイヤは0.1カラット、後者は1カラット。一体どっちが資産価値があると思いますか?こういったようにお金持ちはただ高額な買い物をしている訳でなく、転売する時にちゃんと価値がある買い方をしています。家具も実際はそうです。僕も100万円のテーブルを買って、何年か使って飽きたから売ろうかなと売りに出すと100万円以上で売れました。さんざん使ってさらに高く売れるんです。高く売るには人気なども左右しますが、それなりのクォリティで素材がいいものだとほとんど価値は下がりません。
日本人はバブル時代多額な資金で名画を買い漁り、売る時は下落しているという負のイメージが大きいのですが、ちゃんと勉強していればそんなことはほとんど無いのです。でなければ、ヨーロッパでサザビーズやクリスティーズが200年以上も残っているはずがありません。ヨーロッパのお金持ちも堅実に、オークションを使って最適な金額で転売し、新しいものを購入しているのです。こういった部分をちゃんと知ってもらう必要があります。
 
そして、特に僕の理想なんですが、このオークションをきっかけに社会構造自体が変わってくるといいと考えています。
例えば、有名建築家の物件。50年以上前の名建築がどんどん取り壊されています。こういった物件は競売にかけられていますが、落札したオーナーの殆どはただそこの土地が欲しいだけ。結局は更地にしてビルなんかを建ててしまいます。欧米はこういう建築物は建物が欲しい人が落札し、お金はかかりますが、修復して住むなり、公開するなりして保存することが多いのです。こういう文化を残す方へ投資してくれる人を探せるいい手段だと思います。
また、海外では既に事例がありますが、オークションハウスがメーカーと組んでオークションのためにプロトタイプや限定商品を開発することもあります。それもテーブル1台が3千万円で落札されました。日本は大量生産、低価格の方向がプロダクトのほとんどの方向ですが、近年は環境問題などとりだたされ、収益を下げずに生産量を減らすビジネスモデルを試行錯誤しています。こういったオークション、もしくはオークションによって生み出された富裕層の購買マーケットは高額、少数生産を促進させ、結果的に安定収入、生産減少を可能にします。
この少数生産にはパトロンの解釈を変えたものが存在し、クリエイターを育成していくのと生み出されたクォリティが高い作品は美術品として、数百年後に重要文化財や国宝になる可能性もあり、文化面でも貢献をすることが出来るのです。その昔日本の武家や貴族が狩野派なんかに蒔絵や屏風を依頼したようなことを復興させるのです。
僕が考えるに、格差社会は回避することが出来ないでしょう。であるならば、富裕層はそれなりの社会的使命を文化貢献を含めて果たすべきだと思います。
 
まだ、始まってもないのに理想ばかり大きいのですが、僕は社会構造が変わらないと、ずっと消費社会は続き、富裕層は金儲けだけ考え、情報はグローバル化している世界についていけなくなるでしょう。だからこそ、この事業を根付かせて将来を多少は明るく出来たらいいと思っています。
| Design | 23:55 | comments(10) | - |
Nordic Design

JUGEMテーマ:アート・デザイン

僕が子供の頃、バイキングは海賊として略奪や蛮行を繰り返す悪い奴らと教わりました。でもこれはキリスト教文化側が異教徒に向けた批判的見方でした。本来は広域の貿易を主としていたのです。何よりも素晴らしかったのは職人の技術の高さでした。ヨーロッパがまだ大航海時代に突入する遥か前の8世紀にして、スカンジナビアの人たちは大型の船を造り、アメリカ大陸から、アラブ、西アジアまで貿易をしていたのです。また当時のヨーロッパはローマ帝国が衰退した暗黒の時代。武器などの生産する高い技術力はバイキングの力をさらに高めていました。高度な造船技術は建築にも及び、広範囲の貿易では今やイギリスが誇る工芸ともいえるセーターなどの編み物も、当時の貿易によってイギリスにもたらされてものでした。まさに世界最高の職人大国だったのです。
 
今日、オペラシティでやっている『北欧モダン デザイン&クラフト展』に行ってきました。会場はややこじんまりと。場所と雨が降っていたこともあり客足はまばらで、土曜日にもかかわらず見やすかったのがよかったです。今回の展覧会は数年前に都美術館で行われたイームズ展のスタッフが中心になっている関係もあって、大体知っている人ばかり、僕自身も今回の展覧会に少々貸し出しをしています。僕も以前かなりの北欧デザインを所有していたので、相当な物が無い限り驚くことはないので、そんなに期待していませんでしたが、入ってすぐカヌーが置かれていたことでちょっとほっとしました。コレクター的な展覧会で終わってしまうのではないかと思っていたからです。そして、チケット切りの入り口の上には北欧の自然の大きな写真とウィリアム・ブレイクの詩添えられていました。会場の中に入ってからもコーナーごとにあるテキストがとても気持ちよかったです。ただ、展示は無難にまとめられているので少々個人的には物足りなさは残りました。
今回の、チケットやチラシには岡尾さんのスタイリング写真が使用されています。個人的には会場にもそんなスタイリングでもう少し生活感を見せるコーナーがあっても良かったように思います。また、せっかくいいテキストがあるのだから、もう少し物や写真でそのイメージを広げられるスペースがあったらいいなあと思いました。
 
僕だったらどうするか考えてみました。北欧モダンとカテゴリーを限定したとしても、僕だったら、モノという結果的に出来た物だけでなく、なぜこのモノが生み出されたのかと言う北欧の環境や歴史、民族性などを紹介するでしょう。
冒頭にバイキングの話をしましたが、北欧のご先祖様が生み出した高度な技術、例えば船をこぐオールのシェープはハンス・ウェグナーフィン・ユールの立体的な曲線美に変わったことでしょう。武器を作る高度な金属加工はヘニング・コッペルのテーブルウェアやジュエリーを生み出し、防寒のための織物は、芸術的なタペストリーなどに発展しました。そして何よりも世界中を航海し貿易を営むなかで世界の技術や伝統にインスピレーションを受け、自分たちの技術の中に取り入れる応用力に長けていたと思います。それゆえにあの痩せて何も無い北の土地で豊かな文化が生まれたのだと思います。
ムーミンは古くから伝わる民話に登場する妖精がベースになっていますし、タピオ・ヴィルカラの作品の中には先住民サーメ人の工芸をモダン的に解釈したもの、極北の地、ラップランドの自然からのインスピレーションと同時にソビエトと同様社会主義体制だったフィンランドの構成芸術の影響を同時に受け取ることができます。ウィルヘルム・コーゲが影響を受けた日本陶芸はその弟子であるフリーベリリンドベリらにも間接的に受け入れられています。日本人がこの異国に親近感を感じるのはコマーシャリズムだけではないようにも感じます。この部分を知らなければ、どうして北欧デザインが生まれるのかが理解出来ません。僕はフォルムなどの表層的な部分だけでなく、もっとこの国の文化から必然的に生まれてくることを多くの人に知って欲しいと思います。そして、その上で北欧が好きか嫌いか判断して欲しい。
 
以前も話しましたが日本で知られる北欧イメージと現実は違います。(大きくは間違っていませんが)スウェーデンでは国で飲酒が制限されています。酒屋もすべて国営。酒好きにはのびのび出来るところではありません。フィンランドではパンクやゴスロリの女の子を良く見かけます。手のぬくもりとかモノを大事にするとか言われていますが、そんな国で世界でもトップクラスの消費を煽るIKEAH&Mは生まれません。北欧のモダンデザインのイメージは世界中に知れ渡り、未だにカイ・フランクアアルトヤコブセンヘニングセンが市場を占領していて、若いこれからのデザイナーの活躍の場が失われています。それ故にデフィーラなど、ポストモダン的作品を発表をするデザイナーも少なく無いのです。一番厄介なのは日本人の無知識による市場の過熱ぶり。現在市場で高額で取引されているリンドベリのカップ&ソーサーなんかはそもそも日用品ですから素材自体も粗悪な物が多い。それに2万円、3万円もかける気が知れません。ボーンチャイナみたいな物だったら、またマイセンみたいに絵付けを高度な職人技術によって行っているのだったらまだしも、プリントですから。一時期の供給不足になっているだけであって、本来は全く価値が無い物です。
10年ほど前に“たまごっち”が大ブームとなって裏取引で10万円なんてこともありましたが、それに似た感じ。時間が経てばただのジャンク品になってしまいますよ。現地も高いけどそれは日本人が買うために高くなっているだけです。世界中でこのレベルの北欧ヴィンテージが高騰しているのは北欧本国と日本だけです。でもそれによって日本の消費が成り立っているし、僕も少々煽っている立場の人間なので言えた身分ではないんですけど。本気で好きだったらいくらで買っても構いません。でも煽られていると少しでも感じるようでしたらもう少し賢くなった方がいいと思います。
 
以前、工芸ニュースに関連した北欧視察をまとめた『北欧旅行記』という本を読みましたが視察団が、デンマークのデザイン連盟に呼ばれて、テーブルに日本が作った膨大な北欧デザインのコピー商品を並べられて相当批判を受けたそうです。50年ほど前の話です。今、中国を世界がそういう目で見ていますが、数年後はもしかしたらその後の日本のようにコピーではない商品で世界を席巻しているかもしれません。
この本を読んでいると当時のデザイナーの行き場が北欧の良心ともいえるアノニマスに理想を見いだしたことが分かります。大衆のためというよりは自分たちの美意識のために。現に1950年代後期に松屋で売られていたカイ・ボイセンの猿は12000円、カイ・フランクのカルティオは7個セットで15000円です。ちなみに当時の大学初任給は4000円です。レートも関税も違いますが、全く大衆的な価格ではありません。また、当時ヌータヤルビで働いていたスタッフに話を聞いたことがありますが、カイ・フランクはディレクター的役割でデザインはアシスタントがやっていたそう。イームズもそうですね。だから、アノニマス(デザイナー名を公開しない)を強く望んでいたそうです。どこまでが本当か分かりませんが、彼のアシスタントを経て後に有名になっていくデザイナーのある作品集には一般にカイ・フランクの作品と言われているものも掲載されていますからあながち全くのデタラメな情報でもなさそうです。50年代当時の日本のデザイナーは名前も名乗らず去っていく武士のようにアノニマスな彼にみんな憧れていたんですが、その理由がこういうことだとは誰も気づかなかったでしょうね。
リンドベリはあだ名が“ミセス・リンドベリ”と呼ばれるくらい女性的だったそうです。
タピオも見た目は人嫌いな山にこもって作品に没頭する無骨さを写真を見ると想像しますが、工芸ニュースによると彼は若くから成功しましたから、大金持ちでキャディラックを乗り回しパーティ常連で、プレゼンテーションがとても上手かったそうです。全くイメージと正反対です。ヤコブセンは有名ですよね。デンマークのルイジアナ美術館で行われた大回顧展に行った時にVTRを流していたのですが、よく聞いてみるとインタビューを受けている人はみんなヤコブセンが嫌な奴、誰一人いい人なんて言ってません
。相当嫌だったんでしょうね。彼の展覧会でこんなものを流すキュレーターも凄いと思いました。
物事は裏表があって成り立っています。いい作品にはいい背景もたくさんありますが、悪いこともたくさんあります。北欧のデザインにはその悪い部分を受け入れてしまうほどいい物は多いと思います。ただ一部の北欧マニアは狂信的で偏った物の見方をしていると感じています。工芸ニュースなど、昔の文献ではそういった部分も多く語られたのですが、最近は雑誌が軟弱化して批評的な部分が全く読むことが出来なくなりました。僕はもっと真実を知りたいと思っています。そして、もっとルイジアナの展覧会のように悪い部分もふまえつつ北欧デザインを大きな心で受け入れることも必要かと思います。
| Design | 23:16 | comments(0) | - |
オランダの光と陰
JUGEMテーマ:アート・デザイン

オランダには豊かな暮らしがあります。ユディス・ファン・デン・ボームもまたそういった豊かなオランダをアイコンとして作品を発表しているデザイナーです。
彼女の作品にはゴーダ・チーズを生み出す牛やフェルメールの絵画に出てくるような慎ましやかな女性がアイコンとして登場します。だけど、それと同時に自国の人間だからこそ知り得る負の部分も表現されているのです。
 
オランダはダイヤモンドが特産品と言うことをご存知でしょうか?
もちろんオランダでダイヤが採掘される訳はありません。植民地政策時代にアフリカなどから徴収していた文化が根強く残っているのです。
今でもアフリカや南米の木材で家具や住居が作られるのは変わっておらず、ヨーロッパの豊かさの一部はこういった部分からもたらされているのです。
 
オランダの多くのデザイナーはその負の部分に向き合い、アフリカや南米に技術支援したり、アート表現として批判したりしています。ヘラ・ヨンゲリウスやトード・ボーンチェは有名ですね。ユディス自身、まだ外部へ委託するほどの力量を持ったデザイナーではないので、表現として帝国主義社会の批判を作品制作に取り入れています。彼女のの代表的作品、『ダッチ・ファームガール』もまた、古き良き農婦をモチーフにし、伝統的なデルフトの技法(しかも制作は最も格式あるロイヤル・デルフトで行われている)を利用しながらも、絵付けは狂気そのものです。


笑顔の農婦の肩には銃創、腰にはナタや銃が描かれています。胸にはナチ党員のバッジもみられます。彼女の作品にはグロテスクな表現が多く、その不快感から物事の真理を引き出させるパワーをもっていると考えています。それは動物の死体などを作品のモチーフにするダミアン・ハーストのように。ダッチデザインの凄さはこういう批判精神からも垣間見ることが出来ます。
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Crackery tableware
JUGEMテーマ:アート・デザイン

先日オランダで見つけてきたものを1つ。
日本では欠けてしまった陶器などを金継ぎという手法で金を差し込み、元のように利用するといういわば古物再生の知恵を昔から持っていました。そんな雰囲気を感じさせる小鳥がユトレヒトのインテリアショップで僕を誘っていました。
デザイナーはJoana Meroz。彼女のことは若くまだほとんど無名なので、一般的にはそんなに注目されておらず、僕の中で気になっているデザイナーですが、詳しいことは今のところほとんど知りません。かろうじて知っているのは1979年ブラジル生まれでイスラエル人とのハーフ、そしてなぜかオランダのリートフェルト・アカデミーを経てユトレヒトにアトリエを構え活動しているということです。
日本人の知恵とはちょっと違いますが、壊れてしまったものにもう一度魂を吹き込み、愛情を継続する心はおんなじ気がします。この小鳥達もクチバシや尾が欠けています。そこに金を差し込み(本来の金継ぎとは違うようですが)さらに花のプリントを入れて『再生』を完成させます。僕は実用性の無い鳥の置物を買いましたが、お店にはティーセットがどこか欠陥ある状態で同じ加工で作品としてよみがえっていました。
彼女の作品は陶磁器を扱ったリ・デザイン的要素が強いものが多く見られます。
また排水溝の穴をレース柄にしたり、とても日常に近い部分の作品が多いのが彼女の興味が顕著にあらわれています。
彼女は現在The Ornamented Lifeというブランドを主宰しほとんど手作りで作品を手がけています。
 
彼女の作品は今まで名前を知らずに面白いデザインだと思っていて、何度かいろいろな作品を見ているうちに全部同じデザイナーだということに気づき、それから関心の目で見るようになりました。ダッチデザイナーのスターの仲間入りするのはまだまだクォリティが足りませんが、これからも注目していきたい作家です。
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