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やりたいお店

前からお店をやりたいと思っています。僕がやりたいお店は相当マニアック。だから僕が店に立って接客しないと代わりが出来ない感じです。そんな事もあり、現状方々で僕自身が仕事をやっている以上お店自体は当分夢でしかありません。
 
僕が考えている店はいろいろあります。その多くが店自体にギミックがあるもの。見た目はコンビニなんだけど、雑誌コーナーはレア本ばっかり、棚や冷蔵庫(もどきのガラスケース)にはアートものが並べられているとか、非リーズナブルなものをコンビニエンス感覚で購入できるというコンセプチャルなお店とか。
そんな中で、NYで先日まで期間限定でオープン?していたお店は僕の目指しているギミック店として共感できました。
 
お店の名前はThe Wrong Store。名前の『間違った店』の通り、開店する事の無いお店です。お店の窓には"Come in! We're CLOSED"という看板がかけられています。お客さんはお店の外から覗く事しかできないんです。これはインスタレーションとしてTobias WongとGregory Krumがキュレートしたいわば作品のようなものですが、一部はWebからコンタクトをとって購入できるものもありました。お店にはKAWSのフィギュアやマルジェラの手がけたフットボール、サッカーボール、野球のボール、Blessのサングラス、ジェニー・ホルツァーが手がけたBMWのレーシングカーの模型、写真はヘラ・ヨンゲリウスが制作したファブリックのガスマスク。ガジェットからファインアートまでが同列で売られているのです。
お店の感じはこんなところで紹介されています。
ATMOSPHERE
B3 Annex
New York Magazine
Moco Loco
New York Times
CORE77
 
Tobias Wongってマクドナルドでコーヒーなんかを注文するとついてくるmマークの付いたマドラーを18金で作ったり、アアルトサヴォイベースの型にコンクリートを流し込んだサヴォイ型のドアストッパーを作ったり、ちょっと変わったデザインモノを発表しています。デザイナーっていうよりキュレーターに近いですね。
 
こんな事を出来るのがある意味僕も理想。年中閉店の店だったら、僕でも出来るかもしれないですね。
| Life | 23:09 | comments(3) | - |
誰がためのデザイン?

某雑誌とスターフライヤーのタイアップページ(僕がスターフライヤーについて語るという)の取材ということで、初スターフライヤーで北九州へ行ってきました。
 
スターフライヤーは昨年3月、東京=北九州間に就航された新しい航空会社で、ロボットデザイナーとして知られている松井龍哉さんがCIをやったあの黒い飛行機です。
2005年、丁度BRAUNの展覧会準備でAXISに詰めていた頃にギャラリーでお披露目のイベントが行われていました。確かにかっこいいことはかっこいいんだけど、僕自身はあまり好みではありませんでした。特にラゲッジタグなどコミュニケーションのためのデザインがビジュアル的になりすぎて、機能的なものが薄い事が気になっていましたが、まあその時はプロトタイプでしたので、就航時はかなり調整されるものと思いました。
 
今回は広告ですので、ネガティブな発言は出来ない事もあり、ここで率直な意見を言おうと思います。(良かった部分は本誌で触れますので書き流します)
チケットカウンターの雰囲気は良かったです。機体デザイン、CIについては個人的趣味では無いですが、デザインという意味では面白いと思います。全席エコノミーですが、レザー張りシート、前シートの間隔も広めだし、フットレストもついてる。国内線には珍しく個別ディスプレイがついていて、映画や北九州の情報など機内誌が無い代わりにモニターによる情報を充実させて印刷などの資源コストを下げているのも好感が持てました。写真のように、コーヒー(タリーズとタイアップ)をオーダーすると、森永製のオリジナルチョコレートがついてきます。カップや紙ナプキンなど統一されていますが、ミルクは規正のもので、ここはなんで最後までこだわらないのかが疑問です。(8割をどんなにこだわっても2割が適当だと全くこだわった意味が無くなってしまうと思います)
 
お客さんの感じを見てみると、僕のようにデザインに関心がありそうな人は皆無。ほとんどの人は価格的に(早割だと北九州まで1万円以内)利用している人、北九州事体に目的があるような人たちです。僕の見る限り飛行機のラグジュアリー感と客層は明らかにかけ離れていました。ただ、朝9時の時点で夕方くらいまで満席だったので、経営的には成功しているようです。
 
その後北九州に付き、チケットカウンターのあたりで撮影を開始。僕はカウンター内に入って撮影されていたんですが、そこで衝撃的なものを見てしまいました。
荷物に取り付けるタグがたくさんカウンターの裏にあったのですが、白いタグに赤マジックの手書きで『取り扱い注意』とか『PC在中』とかという10種類くらいのものが置かれていたんです。あのAXISのお披露目会の時に『FRAGILE』のタグが黒で作られていて、「これで係員は認識できるのかよ!」と思っていたのですが、その不安はこのような形で現実的なものとなっていました。しかもあんなにかっこいい(と思われている)航空会社が手書きのタグとは台無し。CIをやっているトップの人たちと、現場のニーズが全く乖離しています。それともインダストリアル系のデザインをやっている松井さん自体にCIグラフィック的な見解が甘いのでしょうか? 
上手いと評判の高級レストランに行ったら、確かに上手いけど出される水が水道水っていう感じでしょうか、こだわりに一貫性がありません。かっこつけたいんだったら、見えるところくらいは完璧にかっこつけてほしいものです。
 
そもそも、あのかっこよさが何故北九州なのかというところがマーケティング的に合っているのかどうなのかが疑問ですが。普通のお客さんはデザインに興味なし。僕みたいなお客さんには粗を見られ、一体誰のためにかっこいいデザインをしているのでしょうか?
 
またCIは企業の顔です。CIはかっこいいだけでなく、企業そのものを理念を表現していないといけません。僕の見る限りスタッフに人からはかっこいいデザイン航空会社を背負っている誇りや意識は(普通の企業としては十分な振る舞いですので、サービスなどが悪い訳ではありません)あまり見受けられません。デザインするんだったら、社員の意識の中すべてにそういった美学を持ってもらいたいもんです。タグもやっぱりデザイン部にこういうのを追加で作ってくれとか、アテンションのために赤を使うにしてもあのラグジュアリーなイメージを壊さないワインレッドみたいな色を使うとか、デザインするんだったら中途半端でなく全部してください。カウンターの前のラウンジシートも革張りのミースやケアホルムなんかにしてかっこつけてください!そしてもっと、かっこいいから乗ってみたいと思わせてくれるような会社になって欲しいと思ってます。
 
使っているところは見なかったんですが、カウンターの裏には黒塗りのスターフライヤーオリジナル車椅子、ベビーカーが数台置かれていました。万が一の部分にもデザインしている姿勢は評価できました。
| Design | 11:56 | comments(0) | - |
Pain

叶わないけど見たい展覧会があります。来週までベルリンの現代美術館でやっている『Pain(痛み)』展です。
感覚的なものを展覧会のテーマにするのってとても興味があります。会場も痛そうな作品で埋め尽くされているそう。
 
日本語って感情表現の微妙な動きを表現する言葉がたくさんあります。実はドイツ語も感覚的な言葉は結構あって、ドイツの人にインタビューするときは出来るだけ直訳できる人にお願いしてもらいます。英語にしちゃうとそういった心の動きとかが全部省略されてしまうからです。
何でそんな話をしたかというと今回の痛み展のカテゴリー分けがドイツ語の表現を上手く活かしていたからです。痛みっていってもいろいろあります。おなかを壊した時になるような鈍痛。テーブルの脚に足の小指を思いっきりぶつけたときの痛み。包丁で誤って指を切ってしまった時の痛み。間違った事を人に教えてしまって、その人に迷惑をかけた心の痛み。日本語でも例えば鈍痛みたいに2文字くらいで痛みの基準を表現する言葉がありますが、ドイツ語も1単語で表現するものが多くあります。今回の展示ではその痛みのカテゴリーにあわせて区分された痛み作品が展示されています。
 
僕は芸術って自分の生活や身近に存在する概念だと思っています。痛みもそう。痛みから何を感じ取るのかということが既に芸術的視点に立っている気がします。でも多くの芸術は神格化され非現実的な評価をされています。
僕だってそうだけど、この絵がいいか悪いかなんてのは一概に言えません。でももっと直感的に痛そうとか、綺麗だとかは分かります。本来そこが冒頭として重要だと思うんですが。そしてその後、なぜこの作家は痛そうな作品をあえて描いたのかという内面的な部分へ感情移入していくことによって本質部分を知っていくんだと思います。
そういう意味でこういう展覧会はすごい重要なんですが、日本で行われる事はまあほとんどありません。日本人は有名作家が立った方が興味あるんでしょうけど、その人が何故に人気作家になったのかを知る人は数割でしょうね。
 
感情に左右されるだけではいけないけど、感情をもっと優先する事も必要だと思うんです。よく、最近人の痛みを知らない人が多いって言うけど、そういう時にこそこういった展覧会を見る事が必要なんじゃないでしょうか?
| Art | 17:21 | comments(0) | - |
ディック・ブルーナのデザイン

新潮社とんぼの本の見本が送られてきました。2004年3月号の芸術新潮で特集された「おとなのためのディック・ブルーナ入門」を再編集し単行本にまとめたものです。僕も今回編集協力と素材提供でお手伝いしています。
 
芸新の編集部にいるM好さんという方は熱心なブルーナファンで、ブラック・ベアシリーズをコンプリートにすべく収集をしています。ウチは本を出していますが、ウチもブルーナも実際シリーズがどこまででコンプリートになるのか掴んでいません。1974年にブルーナは出版社を退職しているのですが、それ以降もブルーナの奥付け表記は残っているし、増刷の度に表紙デザインが変わっていたり、しかも何版まで刷られたかも分かりません。本人も「これは自分のデザインかなあ」といった状態でいかにもブルーナらしきデザインであっても、奥付に記名が無いものは怪しいので掲載しなかったりしました。

今回のとんぼの本には、装丁やポスターなど絵本以外の仕事を中心に、芸新で紹介されていたブルーナの技法や彼の住むユトレヒトの紹介から、アトリエ写真の未公開だったものなどが紹介されています。
 
ウチは既にブラック・ベア熱は下がっているんですが、タイミングを見計らってほとんどの人が見た事も無いブルーナのデザイン作品集を再び制作しようと思ってます。
| Graphic | 15:50 | comments(3) | - |
デザインのオークション

まだプレス書類がまとまっていないので、正式に発表するのは8月頃になると思いますが、今度11〜12月頃にオークションハウスを立ち上げます。家具などデザイン系のものを中心に出品します。
代表は北欧のものを中心にヴィンテージ家具のディーリングや販売を行っているエルモルイスのN田さん。僕はビジュアル面のサポート、全体のサポートをランドスケープのN原さんがやっています。また更に多くの人たちが関わっているのですが、それは後日。皆、これから書くような現状の日本の態度に不満があり、前から興味のあった仕事です。
 
これまでお城で使われていた様な装飾家具からアールヌーヴォーアールデコ位まではサザビーズクリスティーズでも出品されていましたが、バウハウス以降のデザインものはほとんどおまけ程度の扱いでした。オークションとデザインの関係が変化し始めたのは10年ほど前、クリスティーズが20世紀デザインというジャンルを作り小規模ですが独立したオークションを始めたのです。この頃からメジャーなオークションハウスでデザインのオークションが開かれるようになりました。アメリカではRAGOLAMAWRIGHTなどのオークションが当時イームズ・ブームが吹き荒れた日本でも注目されるようになったんです。ただ、ここ最近までこれらのオークションに参加しているのはどちらかというとコレクター系の人で、彼らは市場価値を知っているので無難な金額で落札されていました。
次にこの流れが変わったのが2,3年前。シャルロット・ペリアンジャン・プルーヴェの家具がコレクターから富裕層のステータスに変化し始めたきた頃です。2000年頃に150万円くらいだったキャビネットが10倍の1500万円くらいになったのです。(現在では3000万円くらい)現在では富裕層や投資家による影響で、もはや使用する目的のデザインから観賞用的な美術品へ変化してきています。
 
海外のデザインショップとしてまず名前が出てくるのがNYのmoss。ここ数年このお店も変化を見せています。今まではショップ限定商品というと既製品の生地を変えたソファだったりとか、色を特別にしたもらったりだとかくらいのものでしたが、最近は全く新しい商品をデザイナーに依頼して作ったり、金額も数百万円、数千万円クラスのものが増えてきました。家具屋さんといえば売れ残ったり、時期が変わるとセールするのが普通ですが、mossなどこういった強気なお店は売れ残る分だけ値段を上げたりしているのです。こういった面もアートギャラリー化しているのがわかります。また以前も話しましたが、ガゴシアンのようなアートギャラリーがデザインものを取り扱う現象も増えています。
 
アジアでもこういった流れに大きく対応しています。中国や韓国の富裕層はすでにこういった家具やアートを世界から買い集めています。では日本はどうかというと、全然ダメ。ここんとこのポンド高、ユーロ高を見ての通り、デザイン・アート業界に限らず日本は世界の大きな市場の流れに取り残されている状態です。円の価値が下がりっぱなし。今だけ円安だろうと思ってるかも知れませんが、世界の状況を見ていくと更に円は下がっていきそうな感じがします。世界中のデザイナーを日本のメーカーは起用しているのに、海外の人はそれの買うすべどころか存在すら知らなかったりします。IDEEなんかは海外ではすでに存在しない会社と思われており、今お店に売っている商品が海外で10倍以上のプレミアがついていることを内部の人も知らなかったりします。
 
上の写真は2002年のクリスティーズ『20世紀の重要な装飾芸術』のカタログです。表紙はクラマタのミス・ブランチ。コクヨが販売していたときは200万円でしたが、落札価格は千数百万円でした。
 

これは昨年6月のサザビーズ『20世紀の重要なデザイン』のカタログです。何度かここでも紹介しましたが、表紙に出ているマーク・ニューソンロッキードラウンジが1億円。これは現代家具至上最高額です。これはIDEEでも販売していました。(確か180万円)僕自身10年ほど前に80万円で買わないかと言われたこともありました。
 

これは昨年末のサザビーズ『20世紀の重要なデザイン』のカタログです。表紙はオランダのJ.ヴァーホーヴェンの卒業制作“シンデレラ・テーブル”です。20台制作され、その1つがウチの近所の燕子花別館にあります。落札価格は1千万くらいです。
 

2003年フィリップスの『20-21世紀のデザインアート』カタログです。表紙は94年のカルティエ財団のインスタレーションで40台制作されたロン・アラッドのテーブルで、確か落札価格は500万円くらいだったと思います。現在は1千万円以上するそうです。
 

2005年フィリップスの『20-21世紀のデザインアート』カタログです。表紙はイラストですが、イギリスのエスタブリッシュド&サンズがその年に制作したザハ・ハディットの“アクア・テーブル”試作品です。これは3千万円で落札。
 

これも2005年のサタデー@フィリップス『20-21世紀のデザインアート/現代美術/写真』カタログです。大手のオークションハウスで参加者が高齢化しているのが問題になっていて(次世代の投資家が育っていない)フィリップスでは若い人も参加できるカジュアルな低価格帯のオークションとしてサタデー@フィリップスを立ち上げました。ここで画期的だったのが、美術と家具を同列で売ってしまう(ライフスタイル提案的)オークションで、カタログも今までのいわゆる物撮りではなく、インテリアコーディネートした空間で見せています(フィリップスのHPに写真例がでてます)
 
今回は大手オークションハウスを紹介しましたが、各会社でも大体年3〜4回デザインだけのオークションが開かれています。こんなに盛り上がってるのに、こんなにデザイン消費国の日本なのに1つも国内にオークションが無いのもおかしい話です。
WRIGHTなんか、数年前1回のセールスが2億ぐらいだったのが、現在は15億近くになっていることからも市場の動きが見えてきます。
 
今回のオークションはそういった世界の大きな流れに同調していく1つのビジネスであり、デザインや芸術に疎い日本の投資家に対する教育も含んでいます。そして、日本で最近増えている過去の名作(特に物件)の廃棄に対する警鐘と知識の啓蒙とモノの循環です。当面は海外、特にアジアの投資家が参加者のメインとなるでしょうが、日本も世界的な流れについていけるようにしたいと思っています。
 
| Design | 23:37 | comments(1) | - |
Vraison

以前いた会社でmaxellさんの仕事をやってたんですが、その関係でパソコン用のハイエンドヘッドフォン『ヴレソン』ってのをいただきました。
 
前から開発系の人と話をすると出てきた話で僕が特に興味深かったのが“無いものを作る”事が出来るということ。例えば低解像度のデータっていうのは通常鮮明にする事は出来ません。もともと鮮明な部分が存在しないから。でもその話では無いデータ部分を予測して作り上げる事が出来るそうです。データって心電図みたいに例えるとギザギザの山谷が繰り返される記号で、山の部分が途中でぷつっと切れているのが欠如した部分。でもその山の上に上がっていく角度と谷に下がっていく角度をのばしていくとおのずと頂点を発見する事が出来ます。これをコンピューターが計算すればもともと存在しない部分でも作る事が出来るという事です。 
 
話がそれていますが、実は今回のヘッドフォンも同じようなことなんです。
CDやデジタルデータっていうのは圧縮されているので、ある一定の周波数など、先ほどの話でいう山の部分がカットされた状態になっています。アナログ好きな人がよくいう耳には聞こえない奥行きの部分がデジタルには足りないというのはここのカットされた部分です。そしてその話のように実はこのヘッドフォンもそのカットされた部分を作り上げデジタルでも奥行き部分を生み出す事ができるそうです。他にも荒いデータを滑らかにするスムージングなどといった補正もされているようですが、詳しい事はここを読んでください。
僕もデータの事を聞いて理論的には分かったんですが「ほんとかなあ」という懐疑的な部分も確かにありました。それを証明する意味でもちょっと試してみました。
 
純粋にいいです。
 
普通のヘッドフォンも使って、ノーマルモードで比較してみました。いろんなジャンルの音楽で試してみたんですが、特に顕著に違いが分かったのがライブ音源、戦前のR&B、それとクラシックでした。もともと生っぽいのがその奥行きってのが大きいからでしょうかね。また、このヘッドフォンのコントロール画面にはライブやコンサートなどのモードもあってそれに切り替えるとより楽しめます。
 
ただ、欠点がありました。それはウィンドウズでしか聞けない事です。僕はだいたいマック派なのでそこは大きかったのですが、6月末からHPでマックOSのインストーラーが登場しクリアできました。上の写真はマックに接続したヴレソンです。
で、もう一つ。パソコンが無いと聞く事が出来ないのです。デジタルオーディオとパソコンをつなげば出来ない事は無いんですが、自由度はかなり制限されます。ただ、ipodなんかに付けて野外で聞くっていっても、外部の音を拾っていたら元も子もないのでそこまでは求めてないんですが。でも手軽さは重要だと思うのでこのシステムがより簡単になる事を望んでます。
それとさらに1つ。ウチはうるさい訳ではありませんが、ヘッドフォンをしても外部の音が聞こえます。これでは純粋にいい音を楽しむ事が出来ません。無音室にいるようにノイズキャンセリング(外部の音を限りなく無くす)がさらに極まるといいですね。
 
もらっておいて注文つけるのはそもそも何様だ!って感じですけど
まあ、現時点でこれだけの事が出来るのは非常に満足です。
maxsellさん、ありがとうございました!
 
| Music | 23:09 | comments(0) | - |
SiCKO

トロントに行った時に町に貼ってあったマイケル・ムーアの新作『SiCKO』(シッコ)のポスター。Sickのスラングで“病気”を表す言葉らしい。日本では8/25から公開されるようです。
『ボウリング・フォー・コロンバイン』では銃社会アメリカの闇、『華氏911』ではアルカイダとブッシュの関係をテーマにしていましたが、今回は医療問題。日本でも年金問題とかが話題ですがアメリカの医療制度もまた、かなり闇の部分があるようです。
 
アメリカには国民健康保険みたいな国が保証する医療制度がありません。みんな民間の保険会社と契約しています。より医療保障が欲しい人は何社も契約したりしています。そんななので、もちろん低所得者は保険に入っていません。アメリカの1/6(1/4ともいわれてますが)の人がそういった保険に加盟していないそうです。これにも相当問題がありますが、今回の映画は日本の年金のように保険料を払っている人たち(年間平均35万円も払っている)の問題が取り上げられているんです。
 
アメリカは高い医療制度で有名です。日本でも医療の問題は尽きませんが、医療費は国がある程度負担してくれていて、医療費が低い国の中では比較的良い治療を受けられているみたいです。アメリカはもっと医療は進んでいます。医師のモチベーションが違うからです。日本の医師はお金持ちと言われますが、それでも“使命感”の方にプライオリティが置かれています。アメリカは日本の医師の10倍くらい収入があります。かなりの高収入職業なので、エリートと呼ばれる人たちがみんな目指す職業です。この医師たちの給料を払ってるのは、実は保険会社なんです。医師や病院は保険会社の下請けのようなものです。だから被保険者の治療や処方の決定権は保険会社にあるのです。なので、保険料の支払い状況や支払い金額に応じて保険会社が治療のランクを上下したり、場合によっては拒否する事もできます。これはとても怖いです。
 
まあ、マイケル・ムーアの映画はかなりやりすぎ演出もあるのでそこまでじゃないでしょうという事もあるのだろうけど、これはここ日本でも他人事としてみる事は出来ないかもしれません。
日本の社会保険制度は崩壊しています。僕たちが老人になる頃はかなりの改革をされているのでしょう。最近の政府のやり方を見ていると、公益法人は解体して民間に委託する方法が多くとられています。年金に関しても最低保証だけを国が行い、それ以上のところは民間の年金積み立てを利用するというイギリス的な方式が案の1つとしてあがっています。まあ、社保庁もムダな施設を作って博打を行い、国民の貯金をどんどん減らしたり、天下りによって余計なお金を使ったり、国が関わるとろくでもない事が起ると国民は誰しも思っているので、民間の方がいいやと思う人がほとんどかもしれません。ただ、民間が年金や保険に参入した時に、もしかするとアメリカのようになるかもしれない怖さもあるんです。みんながみんないい人ではないですから。
 
そういう意味で『SiCKO』は他人事でない話かもしれない部分を含んでいます。僕たちが出来る事はまず、物事のいいとこだけでなく(だいたいいいとこしか言いませんからね)、悪い部分も理解しておくことかもしれません。
| Movie | 23:43 | comments(0) | - |
The Texas Chainsaw Massacre

待ちに待った『悪魔のいけにえ』のスペシャルDVD BOXが発売しました。このDVD、6月8日に発売予定でしたが、パッケージなど版権元ともめて延長になり、今日やっと販売になったのです。
BOXにはオリジナル版、テレ東で放映された日本語吹き替え版、没テイク、メイキングなどの3枚セットとブックレットが入っています。
僕が初めてこの映画を見たのは小学生方角年の頃で確かテレ東で放映されたものです。それまで『オーメン』やら『エクソシスト』やら俗にいう“ホラー映画”は見ていましたが、この映画は何か違いました。何が違うのかその頃は分からなかったんですが、今ははっきり分かりました。その恐怖に近い事をブックレットで柳下毅一郎氏が書いていました。
 
ヒルビリーという言葉を聞いた事があるでしょうか?音楽の世界では有名です。R&Bが黒人の低所得労働者が作った音楽であれば、その白人版がヒルビリーと言われます。アメリカ南部アパラチア山脈地帯で生まれたのがカントリー&ウェスタン。1920年代頃までヒルビリーと呼ばれていました。こういった音楽のジャンルでしかほとんど知られていませんが、ヒルビリーとは貧農の『田舎者』や『山猿』を意味する差別用語です。ヒルビリーがいつ頃生まれた言葉か定かではありませんが、『NYジャーナル』1900年4月23日号の記事がヒルビリーという存在を知らしめたと言われています。
 
そもそも今のアメリカは、アングロサクソンが新境地を求め、300年近く前にアメリカ大陸に移民してきたイングランド、アイルランド、スコットランドの人たちが作ったのですが、みんなに意欲があった訳でなく、新しい地に移民しても結局何も変わらずに極貧の生活で自給自足で生活をしていた人も多かったのです。そういった人たちは近親婚、幼児婚を繰り返しながら教養もモラルも無く、100年以上も山奥でひっそりと他の文化と隔絶されて生活を営んでいました。柳下氏のコラムの中で、映画などによるこのヒルビリーの発見が文明に住むアメリカ人にとって恐怖だったと書いています。
 
1940年代以降、ヒルビリーは野蛮な地域ではなくなってしまったけど、今アメリカで増えているホワイト・トラッシュ(白人の貧民層)は収入源としてイラクへ兵士として志願し派遣されている。そしてある一部の人間はイラク人捕虜を拷問したり、無差別な殺戮を繰り返しているのだからヒルビリー時代と変わらないのかもしれません。
 
前置きが長くなってしまいましたが、『悪魔のいけにえ』に登場する一家はまさにヒルビリー的な生き方をしていて、僕が幼少の頃持っていた恐怖は、非科学的なオカルト映画ではなく、モラルの無さから人殺しも楽しんでやってしまうような現実的に存在しうる世界に対しての恐怖だったのだろうと思う。ヒルビリー的ではないけれど同じような恐怖は同じ頃に見たスピルバーグの映画『激突』にも感じた。
 
『悪魔のいけにえ』はホラー映画の巨匠トビー・フーパー監督によるもの。初見からファンになってしまい、『いけにえ』のキャストのサインを集めてしまったものです。
 
有名な話ですが『悪魔のいけにえ』はエド・ゲインという実在の犯罪者をモデルにしているといわれています。エドは極度のマザコンで、死体を掘り起こしては皮をはいでミシンで丁寧に縫ってはマスクや着ぐるみを作っていたそうです。それは母と同化する行為で、この異常な犯罪は『悪魔のいけにえ』だけでなく、ヒッチコックの『サイコ』に登場するマザコンの殺人鬼ノーマン・ベイツや皮で着ぐるみを作る『羊たちの沈黙』のバッファロー・ビルなどで引用され、エド自体を扱った74年の映画『ディレンジド』、2000年の映画『エド・ゲイン』と何度も取り上げられています。
 
そして監督のトビー・フーパーはテキサスで起った乱射事件でも現場にいたらしく、それがこの映画作りのきっかけとなったそうです。
 
僕自身相当な影響をこの映画で受けました。もしかしたら自分も遭遇するかもしれない身近にある恐怖。ニュースで今も放送されるとある町の殺人事件も、もしかしたら自分に降り掛かってくるかもくるかもしれない。僕の中でこの映画はジャンルを超えて上位にあります。
 
そういえば、MOMAが20世紀の保存すべき名作映画としてこの映像を永久コレクションしているそうです。
| Movie | 23:17 | comments(5) | - |
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