山口のお店の名前が決定しました。
『Degree(歴程)』 です。
当初出した案はnido(イタリア語で巣)だったり、nemus(ラテン語で木立)だったり、20案ほど考えたんですがホンワカイメージのものが多く(僕はちょっとおしゃれなカントリーショップくらいのイメージだったので、ちょっと女性的な方がいいかと思っていたんです)先日のオーナーさんとあった時に彼の構想を聞いて、これではダメだと再考しました。
彼がお店にかけるキーワードは『泥臭さ』『汚さ』です。彼の表現力の範囲で飛び出してきたものです。まあ、そのまま受け取ってしまうとお店としてはネガティブなイメージになってしまいますから、僕はそれを翻訳して綺麗な意味、かつオーナーの意図に沿うものにしなくてはなりません。
そんなとき『歴程』を思い出しました。山口出身の詩人、
中原中也が発行メンバーとなった同人誌の名前です。詩誌としてはとても重要なもので、発起メンバーは中也以外に
土方定一、
草野心平らも名を連ねています。
宮沢賢治の遺稿や
高村光太郎などの詩人が寄稿され、
串田孫一や
粟津則雄らはこの雑誌からデビューしました。
歴程にはこれまで歩んできた道筋という意味があります。『過去から続いてきた道、そしてこれから続く道』が今回のお店のコンセプトとして共通する部分です。そして、中原中也という山口の作家と『山口から発信する』意味と
ダダイストだった彼の前衛性を込めました。
このネーミングを打診してみると、彼のイメージにピッタリだったのか、とても感激していました。そしてその後こんな決意表明ともとれるメールが来ました。
日本や世界の歴史の中で親しまれ愛されてきた生活するための道具や、
現代社会から生まれた工業製品、それぞれ違う時代や違う文化から、
生まれたモノを同じイレモノ(店)にいれると、どんな顔や表情をみせるのか、日本や世界のいろんな人々の人生や思いがつまっているようで店ってとてもロマンがあっておもしろいとおもいます。
それと、締めくくりにこんな言葉も書かれていました。
来生たかおの曲で<楽園のdoor>の詩がこれからの自分のテーマソングようにおもえて何かじーんときます。
って、南野陽子の歌じゃん! って突っ込みを入れようと思ったんですが、考えてみるととても
深い意味に思えてきました。彼の感覚の凄さはこんな所にも表れています。
ね、このオーナーさん普通じゃないでしょ?