今日はオランダからのお客さんと会食会でした。
Ben Bosという大御所グラフィックデザイナーご夫婦です。
彼らとの出会いは2004年の春でした。
当時、僕はオランダのグラフィックにハマっていて、Dick Bruna然り、同世代のデザイン物を収集していました。特に気に入っていたのがWim Crouwelという人。60〜70年代にかなりコンピュータ時代を意識したデザイン、特にアムステルダムのステデリックミュージアムの展覧会ポスターなどを多く手がけています。ロンドンでは特に再評価されていて、若いデザイナーがこぞって彼をリスペクトしています。今あっても最先端なグラフィックです。でも、何人かの海外のデザイナーに聞いたんですが、彼らが学生の頃は、Wimのデザインは悪い例として評価されていたようです。本当に30年早いデザイナーでした.(まだ生きてますけど)
このWim Crouwelを含む5人がオランダ最初のデザイン事務所を1963年に創設します。それが『Total Design』という会社です。日本デザインセンターも同じくらいなので、世界的にグラフィックが企業化していった頃なんでしょうね。創設間もなくWimの推薦で入社したのがBen Bosでした。彼は80年代には同社の社長もしたそうです。オランダの玄関口、スキポール空港のサイン計画はTotal Designが行なったものです。現在はリニューアルされましたが、基本コンセプトはそのまま受け継がれています。
日本ではGKと仲が良かったようで、お互いの社員を研修として交換したり、共同プロジェクトをやったりしたそうです。
前置きが長くなりましたが、2004年の春、CIBONEで夏に『Total Design展』をやろうということで、僕自身もリスペクトする彼らに直接アプローチしたのでした。その後も何かというと食事をしたり、時には車で送ってくれたり、ウチでアムステルダムのガイドブックを出すという話をしたら「取材するからなんでも言って!」(って、70歳超えた巨匠に頼めないよ!)なんて、かなりいろいろやってくれます。オランダの人はこういう感じの人が多いですね。行けば行くほど深みにハマっていくのは人とのつきあいと考え方の面白さが伝わるからでしょうね。
その夏、大々的にCIBONEで『Total Design展』は開かれました。Wimさんは仕事の都合でこれませんでしたが、Benさんには来日してもらい、レクチャーもしてもらいました。
パーティにはBenさんと親しい、福田繁雄さんやGKの会長、榮久庵憲司さんも来られました。こんな手作りの展覧会でしたが、オランダ大使もお越しいただきました。大使には「好奇心だけでこんなことするなんて、君はクレイジーだよ」と言われました。
榮久庵さんにはTotal Designが出来る前夜のアムスのコーヒーショップ(例のものを吸える店です)で盛り上がった話をしてもらって、こういうお年寄りと若者のコミュニケーションの面白さがつても実感できました。
そんなこんなで、今回はBenさんも加盟しているAGI(国際グラフィック連盟)の総会が日本で開かれるということで来日したそうです。9/26-30まで銀座のgggで展覧会を行っているそうですのでお時間あったらみてみてください。
それと、写真はBenさんのお土産です。オランダには街中にジャンクなフレンチフライを売るお店がありますが、このフォークはそれ専用のものだそうです。裏に手描きでデザイナーのサインが入ってましたが読めません。ステデリックミュージアムで買ったそうです。