丁度一年前ぐらいだったか、ライターのY口淳さんと単行本の打ち合わせの時に「来年BEAMSが30周年で、それをまとめた本を執筆してるんですよ」ということを聞きました。
僕も『POPEYE』創刊号から読んでいたので、同時期に誕生した『BEAMS』は、アメ横とはどこか違うお店で、小学生の頃からよく通っていました。当時はミッキーマウスのトリムTシャツがアメリカの学生スナップなんかで写っていて、欲しいと思ってたんですが、確か僕もBEAMSで買ったと思います。(ミウラだったかな?)
中学の頃は夏の部活通いのためにエスパドリーユを買ったり、何かとお世話になったもんです。
話は戻ってこの本ですが、Y口さんの綿密な取材によって、30年間の軌跡が見えてとても面白かったです。特にこのくらいの規模のアパレル企業って30年前には以外と無かったので、例えばプレスというものを社内に作ったりとか、初期メンバーの定年問題とか、現在増えたこの規模の企業にとって未だ経験したことのない問題などを想定するにはとてもいいお手本になるのではないでしょうか。
さらに、今までタブー視されてきた重松さん(現ユナイテッドアローズ社長)を含めた数十人の退職劇などにも触れられています。BEAMS側の取材では核心的な部分は分かりませんでしたが、是非重松さんなんかにもインタビューして欲しかったですね。
2年ほど前シップスの幹部がごそっと退職しネクストエッジという新しい会社を立ち上げるという十数年前BEAMSで起こったお家騒動に似たことが起こりました。が、今年になって倒産する衝撃的なニュースがありました。あとがきでも書かれていますが、この背景には後ろで手を引いていた企業が関係しています。UA創業の時はアパレル企業が黒幕にいました。アパレル企業は新しいブランドを立ち上げた時に、どれだけ軌道乗せることが大変かを知っています。だから、創業3年間は赤字続きだったにも関わらず、投資をし続けました。おかげでUAはこの規模のアパレルのトップに現在は登りつめています。方やネクストエッジはというと、投資会社が黒幕にあり、基本的にアパレルの特性などは理解せず、短期的な成長による株価の高騰を目論んでいました。結果的に半年あまりで結果を出せなかったネクストエッジは投資会社から見放されてしまったんです。
日本の投資家は会社を育てるという想いよりも、自分への利益をまず考える傾向はとても大きいですね、特にデイトレードが拡大してきたなか、投資におけるモラルや思想は反比例して低下してきています。長い視点を持って物事を捉えることがどれだけ大事か、そろそろ気づいてもいいような気もしますが。